夏から今日まで非常に多くの下痢、腹痛の
相談の方がいらっしゃいます。
巷に溢れる問診時間5分未満で、精査なしで
"はい、下痢止め"を飲んで下さいね、と
反射的に処方する
クリニック医師には注意が必要です。
ブスコパン、ビオフェルミンを
いきなり処方しているケースを
散見しますが、嘆かわしい限りです。😩
下痢の原因には、様々な原因があります。
今シーズン当院での定点観測で1番多いものは
キャンピロバクターによる急性感染性腸炎です。
鶏肉、豚肉を調理するが生焼け、あるいは、
それらを調理する際に使用した包丁を洗浄せず、そのまま生野菜(サラダ)をカットした場合など、経口感染(口に入れた食べものから感染が生じる)によって発生します。
その他は、症状発言の数日以内に
外食で、焼肉屋での生ユッケ、生レバー、
鳥刺しの摂取などは、
非常に感染経路として疑わしい。
その他、原因には
サルモネラ、ブドウ球菌、ビブリオ、
大腸菌、肝炎ウイルス、稀に
コロナウイルスである場合もあります。
下痢が相当頻回に出現しますが、
ピークは2,3日で、
大抵の場合1週間以内に正常化します。
感染性腸炎における下痢は
腸管内に毒素、細菌を排斥しようとする
腸管痙攣的な動きが、痛みになり、
動物の防御反応ですから、これに対して
腸管の動きを止める作用をもつブスコパン、
と呼ばれる薬剤、
下痢止めを与えることは、全くデタラメ、
逆に症状の遷延を招くことになります。
これは、消化器系専門医、小児科医、他、
キチンと修練してきた医師ならば
確実に有する医学知識です。
感染性腸炎の
基本的治療は"対処療法"となります。
つまり、下痢をして失った水分を
口から水分を補給し続けていく、だけです。
そして大抵は自然治癒していくのです。
水すら飲んでもすぐに吐いてしまう、、
重篤症状があり、
同時に下痢が持続している場合には、脱水
が急速に進行してしまいます。
こうした重篤な場合のみに、始めて
点滴や抗生剤投与を検討し、
開始していきます。
下痢は他では、大腸癌、憩室炎、虫垂炎、
難病指定されている潰瘍性大腸炎、
クローン病でも、認められる場合があります。
これらを鑑別するために、基幹病院を含めた
消化器系専門クリニック、
専門医たちは、採血、CT画像診断、
便培養検査、大腸内視鏡などを
駆使していくのです。
下痢を今すぐなんとかしたい、と思う
お気持ちはわからなくないですが、
薬を飲んで瞬時に治る方法は
現時点ありません。
最近、当院で薬がもらえない、と
ご立腹の浅はかなる素人の
方々がクレームしてきたりしますが、😩
コンビニ感覚で、すぐに下痢止めを
もらいさえしたら、即時に治るはずさ、
と安易に考えてはいけないのです。
当院では、現代EBMと呼ばれる、
高次基幹病院と同等の標準診断治療を
国内ガイドラインに準じて実施しています。
よって当院では感冒に抗生剤は原則、
抗生剤は処方いたしません。
経口摂取で水分補給可能な方にも
点滴はしません。
薬理作用が認められない
無意味な薬剤投与は一切いたしません。
とにかく、内服をすぐくれさえすれば
良い、と考えている方は、
例によって早い、安い、⚫️⚫️い、だけの
適当なる市中クリニックや、市販薬局に走る
しかないと思います。そこで更に
症状悪化しても自己責任となりますが。
感染性腸炎を予防するには、
充分な手洗いが最も有効です。
キチンと原因精査治療をしたい、と
考えられる"紳士、淑女"の方々は、
どうぞ当院にご相談下さい。
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